《政界スキャン》
アーミテージの「対日本忠告」
2010年12月号
今年一年を通じて第一のキーワードは、尖閣事件の渦中で、リチャード・アーミテージ元米国務副長官が、
「日本は中国に試されている」
と言ったひと言だった。テストされているとは、愉快な表現ではないが、何となくわかる。
ブッシュ政権下の国務副長官として対日関係の責任者だったアーミテージの警告だ。試されていることを自覚し、毅然と対応しないと、日本は墓穴を掘るという親日派の忠告と言っていい。
何が試されたのか。直接的には、中国が東シナ海から南シナ海に至るまで、領有権問題をめぐる近隣諸国の意思を試すための行動を顕在化させてきた。従って、試す相手は日本だけでないが、尖閣事件では明らかに日本が試された。だが、アーミテージのひと言は、もっと広い意味で、日本の外交・安全保障政策の不確かな点を問うているのだろう。
今年も暮れる。前半は鳩山政権、後半は菅政権と分かれたが、両政権に共通するのは「外交不作」だった。鳩山由紀夫前首相は沖縄の普天間・・・