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政治

「ポスト菅」のシナリオ見えず

死に体はまぎれもないが

2010年12月号

「北朝鮮の砲撃は民主党にとって神風だ」
 この民主党幹部の呟きが自民党に伝わると、元首相安倍晋三は怒りを露わにした。
「二人の兵士が亡くなっていることまで政局に利用しようとしている」
 だが、その「神風」を首相菅直人は「追い風」にできずわずか三日で「逆風」にさらされる状況に舞い戻った。十一月二十三日午後三時半過ぎ、首相菅直人に首相秘書官山野内勘二から電話が入った。
「外務省からの緊急連絡です。北朝鮮軍が韓国の延坪島を砲撃しました」
 朝鮮半島での南北の砲撃戦は日本の安全に直結する。国家的な危機を前に与野党の対立は大義名分を失う。サンドバッグ状態でロープダウン寸前だった菅はようやく一息つき、ひとまず年末危機を乗り切ったかに見えた。
 ところが衆参の予算委員会で明確になったのは南北朝鮮の砲撃戦が起きてからの菅らの危機管理に対する認識の甘さだった。外務省幹部は「パフォーマンスだけの政権」と怒りを露わにした。「国家の危機に与党も野党もない」(自民党幹部)と“大人の対応”に傾きかけた野党側は再び菅政権への揺さぶり・・・