中国で強まる「恐怖政治」
「ナチズム」さながらの国民統制
2010年12月号
十月末、上海国際博覧会が入場者数の新記録を樹立して閉幕した。それから間を置くことなく、十一月には広州でアジア競技大会が開かれ、中国は金メダルを量産、本稿執筆時点では二位韓国、三位日本の合計数をはるかに超える「金」を獲得し、大会記録を大幅に更新する見通しだ。今年は経済規模で日本を抜き、確実に世界第二の経済大国になることと併せ、中国はいま、国威発揚ムードにあふれている。
胡錦濤政権誕生前夜の二〇〇三年秋、「対日関係の新思考」と題した論文で、歴史問題の克服を訴えて話題になった「人民日報」評論員の馬立誠氏(現在はフリーの評論家)は、十一月二十日付の「経済観察報」に、こんな話を書いている。
彼が北京市内の露店で買った布製の財布二個に、それぞれ次のような標語が印刷されていたというのだ。「中国人が一切を取り仕切るべきだ」「全世界は必ず中国語を話さねばならない」。
それは、単なる戯れ言ではなく、中国がますます独善的で傲慢になりつつある現実の反映にほかならない。その一端は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件における大国主義剥きだしの強圧外交にも示されたし、世界を顰蹙させ・・・
胡錦濤政権誕生前夜の二〇〇三年秋、「対日関係の新思考」と題した論文で、歴史問題の克服を訴えて話題になった「人民日報」評論員の馬立誠氏(現在はフリーの評論家)は、十一月二十日付の「経済観察報」に、こんな話を書いている。
彼が北京市内の露店で買った布製の財布二個に、それぞれ次のような標語が印刷されていたというのだ。「中国人が一切を取り仕切るべきだ」「全世界は必ず中国語を話さねばならない」。
それは、単なる戯れ言ではなく、中国がますます独善的で傲慢になりつつある現実の反映にほかならない。その一端は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件における大国主義剥きだしの強圧外交にも示されたし、世界を顰蹙させ・・・