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「骨抜き」同然の対イラン経済制裁

ドバイが密輸の拠点に

2010年12月号

 十一月、ホルムズ海峡を航行する高速ボートの船長は、海上を疾走する何隻ものボートを指差しこう言った。
「あれは全部イランの密輸船だ」
 このボートに乗船したイスラム研究家も「海峡ではオマーン軍の巡視船の職務質問にあったものの、それほど厳重に警備が行われているという印象はなかった」と振り返る。実際、ホルムズ海峡に突き出たオマーンの沿岸部住民にとって、イランとの交易は昔も今も重要な経済手段になっているという。
 国際社会のイランへの経済制裁は継続している。しかし、米国が主導するこの制裁は全く効果がなく、むしろイラン現政権の延命にしかなっていない。
 

広がるイランへの「同情論」


 経済制裁を骨抜きにしている最大の「戦犯」はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイだ。この地のバブルは崩壊し、高層ビルの建設停止も頻発している。
 しかし対照的に同国の運河(クリーク)沿いの旧市街は大変なにぎわいを見せている。アフリカ系、アジア系、ペルシア系の数多くの労働者が溢れ返っている。港には・・・