「市場経済」に舵切ったキューバ
「体制崩壊」の足音が聞こえる
2010年12月号
カリブ海の社会主義国キューバは、革命後五十二年の制度疲労と世界的な経済危機などで経済が苦境に陥って久しく、起死回生の一策として市場経済の方向に大きく舵を切り始めた。来年四月後半には、第六回共産党大会を前回大会から十四年ぶりに開き、指導部が「キューバ経済モデル(MEC)」と呼ぶ経済の構造改革に本格的に乗り出す。十一月からMEC実施に向け全国規模で討論が展開されているが、「社会主義体制崩壊の危機を招く」「革命の成果を失う」など、先行きへの強い不安の声が早くも聞かれる。
革命軍最高司令官であるラウール・カストロ国家評議会議長(元首)兼閣僚評議会議長(首相)は今年八月一日、人民権力全国会議(国会)で、余剰公務員(百三十万人)の段階的削減、それに伴う民間部門拡大を政策として打ち出し、個人事業主による労働者雇用権を初めて認めた。民間部門すなわち自営業者および非国営法人(協同企業体)が増えれば、国内に市場型経済が根付くことは疑いないが、衝撃的だったのは労働者雇用権の公認だった。{b・・・
労働者雇用や住居賃貸も公認
革命軍最高司令官であるラウール・カストロ国家評議会議長(元首)兼閣僚評議会議長(首相)は今年八月一日、人民権力全国会議(国会)で、余剰公務員(百三十万人)の段階的削減、それに伴う民間部門拡大を政策として打ち出し、個人事業主による労働者雇用権を初めて認めた。民間部門すなわち自営業者および非国営法人(協同企業体)が増えれば、国内に市場型経済が根付くことは疑いないが、衝撃的だったのは労働者雇用権の公認だった。{b・・・