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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》米軍「横田空域」

返ってこない空

2010年11月号

 十月二十一日に「国際化」を果たした羽田空港。一兆円を投じた四本目のD滑走路(全長二千五百メートル)の供用に合わせて、江戸情緒を演出した国際線新ターミナルなどが開業した。国土交通省によると、この再拡張で羽田の発着回数は二〇一三年度までに現在の年間約三十万回が四十四万回へと増え、うち国際便の旅客数は年七百万人、国際航空貨物は同五十万トンに増大するとしている。
 さらに羽田を囲む一都三県の経済波及効果は約一兆二千億円に上り、「低迷する首都圏経済の大きな起爆剤になる」(大手シンクタンク幹部)との試算から、経済界も本格的な国際空港への“離陸”に大きな期待を寄せている。
 こうしたなか、「五本目」の滑走路建設を企もうとする動きが始まった。「今後二十年間で首都圏の航空需要は国内線、国際線と合わせて一億七千万人近くに増加。発着回数は二倍近い九十四万回に達し(中略)パンク状態になる」。誇大な需要予測調査を乱造し、結果、多くの不採算空港を地方にばら撒いた国交省の御用シンクタンクとして悪名高い運輸政策研究機構が出した需要予測だ。いくら羽田とはいえ人口減の時・・・