現実味増す「沖電気解体」論
再建を阻む度し難い「名門」意識
2010年11月号
情報機器の名門・沖電気工業が、いよいよ存続の危機を迎えている。十月八日に開いた中期経営計画説明会では、退職債務の圧縮で生じる特別損失二百九十億円の計上による通期業績の下方修正を発表。三期連続赤字中の同社は今年度四十五億円の黒字回復を目指していたが、結局二百八十億円の赤字となる見通しだ。
ここにきて長年の懸案だった累積損失のウミを一挙に吐き出し、中計の最終年度を一年先送りして真の経営再建に着手する決意――との見方もできないことはない。しかし現実はそう甘くない。今回三百億円の増資を募った先は、メーンバンクのみずほコーポレート銀行や明治安田生命など、沖と同じ芙蓉グループ。昨年まで十三年間トップの座にあった篠塚勝正社長(現会長)時代にもみずほ支援は幾度もあったが、今回ばかりはさすがのメガバンクも融資を渋り、増資に切り替えた。同社の六月末現在の純資産額は五百億円あまり。今回の特損を引けば、二百億円ほどしか手元に残らない。「単なる時間稼ぎのモラトリアム増資で、わずかな保有株の変動で債務超過に陥りかねない」(銀行業界関係者)危険水域に入っているのだ。
優先株三百億円も・・・