《企業研究》東京海上日動火災保険
トップ転落に焦る損保の「優等生」
2010年11月号
二〇〇九年一月に三井住友海上とあいおい損保、ニッセイ同和損保の三社統合(MS&ADインシュアランスグループ)発表で切って落とされた損保再編二幕。損保ジャパンと日本興亜損保も統合(NKSJグループ)で追随し、独自路線を宣言した東京海上日動との国内メガ損保三社体制が整った。
この結果、二〇一〇年三月期決算はMS&ADグループの収入保険料が二兆五千百八十九億円、NKSJが一兆八千九百億円。対して東京海上日動と日新火災を合わせた東京海上ホールディングス(HD)は一兆八千六百億円と規模で三位に転落した。いくら「規模の利益は追わない」(隅修三社長)と言い放っても、業界ナンバーワンを走り続け、優等生を自任してきた東京海上HDにとってトップ転落は心穏やかであるはずはない。
主力の自動車保険の収入保険料でもMS&ADは一兆一千六百億円、一方の東京海上日動は九千百九十六億円と水を空けられている。経営統合を選択した二グループは今後、重荷になっているシステム費用削減のメリットも享受することになる。二〇一四年度にシステム統合を計画しているMS&ADは虎視眈々とプライスリーダーの奪・・・