銀行の「不良債権飛ばし」再び
「産業再生」支援の美名のもとに
2010年11月号
十月、「構造的な問題を抱える我が国産業の再生に寄与する」と大上段に目標を掲げた民間ファンド「ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ」(JIS)が組成された。出資するのは日本政策投資銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行の各行を中心に、三菱商事や大手コンサルティング会社など。中立性を確保するためJISの社長には、あらた監査法人の岡昭一執行役代表社員を迎え入れた。みずほコーポレート銀行も近く参加する見通しだ。
日頃から互いを牽制し、いがみ合うことも多いメガバンク三行が突如手を携えるのだから、当然ながら裏がある。実際、「技術力がありながら経営不振に陥っている上場企業や中堅企業を支援したい」(三菱東京UFJ幹部)という美辞麗句を、鼻で笑うのが外資系投資銀行幹部だ。JISの正体は、「今後、急激に増えるであろう銀行の不良債権の“飛ばし”の受け皿そのもの」と指摘する。
三メガの利害が一致した
でも、なぜ今なのか? それを読み解く鍵は金融業界から蛇蝎のごとく嫌われた・・・