露大統領選に向け蠢く「取り巻き」たち
「タンデム体制」に揺るぎはないが
2010年11月号
「メドベージェフ大統領とプーチン首相によるタンデム(双頭)体制は良好だ」(モスクワ外交筋)
ロシアに四年に一度の政治の季節が到来している。来年十二月の議会下院選挙と、再来年三月の大統領選挙に向けて、権力闘争の火蓋が切られた。
冒頭の外交筋の発言をみるまでもなく、プーチンが圧倒的主導権を握る双頭体制自体には揺るぎは生じていない。大統領選挙についても「両人が相談して立候補者を決める」と繰り返しており、当事者同士の権力争いの影はない。
しかしその一方で、次期大統領選挙にどちらが立候補するのかが常に取りざたされているのはどういうわけか。背景にはメドベージェフ大統領の取り巻きが、ポストや利権確保のために起こした「場外乱闘」がある。さらに支持率低下を受けたプーチン陣営の巻き返しの動きまで起きているのだ。
メドベージェフ大統領の取り巻きとは、側近と軍だ。かねてから指摘されているとおり、軍は大統領の直轄であり、いかにプーチンといえども首相の立場からでは完全には目が行き届いていない。さらに、プーチンが主導して進める軍改革への抵抗は大きく、軍幹部にはメ・・・