軍縮にひた走る欧州諸国
米国頼みの「日本化」は不可避?
2010年11月号
ヨーロッパ諸国が防衛費の削減を急いでいる。ユーロ危機以後、各国が超緊縮財政を強いられているのが主因だが、米国最大の同盟国、英国まで大幅な軍備縮小に乗り出したことで、米欧同盟の北大西洋条約機構(NATO)は機能停止に陥る状況だ。オバマ政権の欧州離れは広がるばかりで、欧州では「このままでは日本のようになる」(英フィナンシャル・タイムズ)という危機感が強まっている。
デビッド・キャメロン首相が十月に発表した英軍削減方針は、大きな衝撃だった。欧州で最も戦闘力の高い軍隊は、向こう五年間で国防費を八%削減し、一万七千人以上の兵員を減らし、ドイツ駐留英軍二万人も二〇二〇年までに全面撤退させるというのだ。
新型空母こそ二隻建造するが、一隻は売却目的、もう一隻は搭載する戦闘機がない。英海軍は数年間、動かせる空母がなくなる見込みだ。戦車や重火器は三五~四〇%削減。参謀総長経験者のボイス卿は「ひどいものだ」とうなった。
首相は発表前に、オバマ米大統領に電話し、英国は特殊部隊とサイバー戦争関係部隊に精力を注ぎ、「第一級の軍事力を維持する」と約束した。 だが、海外派兵・・・