電気自動車で「覇権」目指す中国
「先行」日本を追い抜く可能性も
2010年10月号
「次世代自動車」の開発、生産、普及の主導権をどの方式の車が握り、どこの国が覇者となるかはまだみえにくい。ハイブリッド車(HV)は日米市場では普及が加速し、日本が一歩リードしているようにみえるが、トヨタがHV第一号の初代プリウスを発売してから十三年がたっていることを考えれば当然だ。電気自動車(EV)は世界の関心を集めているが、市販車はまだわずかでその実力はみえない。旧来のガソリン車はここにきて燃費が急激に改善しており、粘り腰をみせている。燃料電池車は将来的には大きな可能性を秘めるが、水素供給インフラがなければ意味がない。
こうした次世代自動車の競争に大きな影響を与えるのは世界最大の自動車市場となった中国だ。中国で売れれば、量産効果が出て、グローバルな価格競争力が高まるからだ。その中国が政策的に選んだのはEVだ。
自前でEVを造る十分な基盤
「二〇一五年には電気自動車を乗用車生産量の一〇%まで引き上げ、百五十万台を普及させる」。マクロ経済政策を担う国家発展改革委員会が、昨年末に公表した省・・・