安倍外交の悩み「谷内後任問題」
NSC「次期局長」の適格者がいない
2017年11月号
組織は絶頂のときにすでに転落が始まっている―。霞が関の官僚たちの表情はどこか晴れない。安倍晋三首相の威光を背に内政から外交まで切り盛りする政務秘書官、今井尚哉氏(昭和五十七年旧通産省入省)の跳梁跋扈が、選挙の大勝でさらに悪化すると懸念しているのだろうか。外交当局との摩擦が真っ先に噂される。谷内正太郎国家安全保障会議(NSC)局長との軋轢である。谷内氏といえば、安倍外交の理念的支柱であり、それを体現する実践者でもある。二〇〇六年の第一次政権発足直後の電撃訪中や一五年十二月の韓国との従軍慰安婦問題を巡る不可逆的な合意など、サプライズ外交の陰には常に谷内氏の存在があった。
その谷内氏がこの春、安倍首相に辞意を漏らしたのが、今井氏との一件だった。
「親書書き換え」疑惑が引き金
経緯はこうだ。今井氏は安倍首相の名代として五月に北京で開かれた「一帯一路」に関する国際会議に出席した。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」構想は、日米が推進した環太平洋経済連携協定(TPP)に対抗する枠組みだ。安倍首相の親書・・・
その谷内氏がこの春、安倍首相に辞意を漏らしたのが、今井氏との一件だった。
「親書書き換え」疑惑が引き金
経緯はこうだ。今井氏は安倍首相の名代として五月に北京で開かれた「一帯一路」に関する国際会議に出席した。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」構想は、日米が推進した環太平洋経済連携協定(TPP)に対抗する枠組みだ。安倍首相の親書・・・